はじめに:あなたは健康診断を受けていますか?
皆さんは、健康診断を受けてらっしゃいますか?
- 職場からの指示を受けて
- 自身で健康が気になって
- 市から手紙が届いたので
- いや、まともに受けたことがない
それぞれだと思います。
健康診断は「予防医療」の第一歩
言うまでもないことですが、健康はなにものにも代えがたいものです。
ひとたび健康が損なわれると、それまで普通にできていた仕事ができなくなったり、趣味を楽しめなくなったり、肉体的にも精神的にも大きなダメージを負います。そして、失われた健康を取り戻すことは容易ではありませんし、運が悪ければ命を失ってしまうこともあります。
健康診断とは、そういった損失を未然に防ぐためのものです。「予防医療」の一丁目一番地とも言えるでしょう。健康診断は、健康を守るためには、受けないよりは受けたほうがよい、と言えます。
健康診断、受けたあとが本当に大事
では、冒頭にした質問を少し変えます。
皆さんは、健康診断を受けたあと、どうしていますか?
実は、職場での健康診断を中心として、20歳以上の成人ではかなりの割合で健診を受診した経験があることがわかっています。これを読まれている方もほとんどの方が受けたことはあるのではないかと思います。
しかし、その中で「健康診断の結果を見て医療機関を受診した」という方はどれほどおられるでしょうか。
結果を放置してしまう人が意外に多い
健康診断で異常所見があり、受診を勧められているにも関わらず、病院を受診しないということは実は多々あることです。特に職場健診は、ルーチンのごとく定期的に行われますので、受けることだけが義務のようになり、受けたらハイおしまい、となってしまいがちです。
まともに結果も見たことがない、なんて人もちらほら見かけます。
健診結果を活かしてこそ予防医療
当然ですが、健康診断そのものには病気を治す効果はありません。
異常があったときに、適切な医療機関を受診し、検査・治療につなげることで、初めて予防医療としての意義が生まれます。診断結果を無視してしまった時点で、健康診断を行う意味はなくなってしまうのです。
健康を守るための基本ルール
まとめると、
- 「健やかな生活を守るため、健康診断は受けましょう」
- 「健康診断結果を見て、異常があれば必ず医療機関を受診しましょう」
大変シンプルですが、これこそが健康を守る基本、かつ最も大きな一歩です。
当院での健康診断のご案内
当院では、就労に際しての雇入時健康診断や定期健康診断、特定健康診断と幅広く対応しております。ぜひお気軽にご相談ください。 (詳しくは健康診断のページを参照)
医師の目線で見る健康診断結果のポイント
さて、ここからは健康診断の結果について、医師の目線から少しお話します。
健康診断は、どの種類の健康診断か、また追加するオプションなどによって項目の多寡があります。ただ、どんな健康診断であってもほぼ間違いなく含まれるのは、**「血圧」「身長、体重(=BMI)」**ではないでしょうか。
この2つの項目、簡単に測れて非常に身近で、あえて健康診断でなくとも測ることがあるぐらいのものです。しかし、それゆえに、健診結果で最も無視されやすい2つではないかと私は考えています。
【要注意】放置されがちな「血圧」の異常
「職場の健診でずっと昔から血圧は高いと言われていましたが、なんともないし放置していました」
こういった方が、急性心筋梗塞や大動脈解離、脳梗塞、脳出血といった命に関わる病気を発症して救急搬送されてくるのを何度も経験しました。
血圧は、慢性的に高い状態では自覚症状はないことがほとんどです。それゆえに、高血圧だとわかっているのに放置され、結果的に大病を招いてしまうことが往々にしてあります。
高血圧は日本人の「国民病」
日本人は、基本的に食事から摂取する塩分が多い、塩分過多な国民性を持っています。塩分過多は、血圧上昇に繋がります。そのため、高血圧の全人口に対する有病率は10%を超え(75歳以上では3人に1人以上とも言われます)、ある意味国民病とも言える疾患です。
高血圧が引き起こす「動脈硬化」の悪循環
血圧とはすなわち血管の中の圧力のことであり、これが高いと血管の壁に過剰なストレスがかかり続けることになります。ストレスにさらされ続けた血管壁は、硬く変化してしまい、しなやかさが失われていきます。これを「動脈硬化」と言います。
しなやかさが失われた血管は、ストレスをうまく処理する機能が低下し、結果さらに血管壁のストレスが上昇、血圧も上昇するという悪循環に陥ります。
高血圧が原因で起こる主な病気
動脈硬化が進行した血管は、さながら古くなって劣化したゴムホースのごとく、簡単に割れる・裂ける・破れるといった破綻を起こしやすくなります。その結果が、大動脈解離、脳出血という致命的な病気です。
また、動脈硬化が進行すると、血管が硬くなるだけでなく、血管壁の内側にプラークという塊ができ、中が細くなってしまいます。すると血液の流れが悪くなり、虚血という状態を引き起こします。
- 心臓の筋肉が虚血になれば:狭心症や心筋梗塞
- 足の血流が悪くなれば:歩行時の足の痛みやしびれ
- 脳が虚血になれば:脳梗塞
こういった血圧によるストレスは、血管の塊のような臓器である腎臓にも悪影響を与え、慢性腎臓病が進行するリスクにもなります。
高血圧は「全身病」と考える
インパクトの強い病名ばかりを挙げてしまいました。こう聞かされると個々の臓器の病名ばかり頭に残ってしまい、高血圧のことを忘れてしまいそうですね。あくまで原因となる高血圧という疾患のお話なので、もっとシンプルに考えて理解するのがいいでしょう。
つまり、人体にはあらゆる場所に血管が張り巡らされていて、それらは全て繋がっているわけなので、血管を傷める高血圧は、全身あらゆる部位に影響する全身病だと言える。
となれば、**「血圧を下げることにより、全身の血管が悪くなることを防ぐ=つまりは体全部の病気のリスクを下げる」**と考えることができる。
どうでしょうか?放置していると全身あらゆる部位に悪影響が起きる、場合によっては命に関わる、と考えれば、たとえ症状がなくとも「治療したほうがいいかな」と思っていただけるのではないでしょうか。
「薬を飲み続けたくない」という不安について
血圧異常を指摘されても医療機関を受診されない理由のうち、上記のように症状がないし特に深く考えていなかった、ということの他に、もう1つよく聞くものがあります。
「病院に行かなきゃと思っていたけど、行ったら薬を出されるし、、、血圧の薬は一度始めると一生やめられないと聞いているので、それが嫌で」
たしかに、病院で行う高血圧の治療の主体は、薬物治療であることは否定しません。そして、いったん薬での治療が始まると、なかなか薬をやめにくいことも事実です。
高血圧治療の基本は「生活習慣の改善」
しかし、そもそも高血圧の原因のほとんどは、塩分の摂り過ぎ、そして運動不足です。その原因を改善せず、薬だけで血圧を下げようというのは、本来の治療の形ではありません。世界中どの国の治療ガイドラインでも、食事・運動をはじめとした生活習慣を改善することが、高血圧治療の基本中の基本、ベースであると示されています。
それぞれの患者様の背景、また高血圧の程度などにもよりますが、まずは治療の基本である「食事・運動習慣の改善」を行い、それが十分達成されても血圧がうまく下がらない場合に薬物治療が検討される、というのが本来の形です。
そして、たとえ薬がはじまっても、その後生活習慣が改善された状況が続けば、次第に薬が不要になることも珍しくありません。
当院の高血圧治療方針
当院でも、なんでもかんでもすぐに薬、とは決してせず、まずは患者様の生活状況をよく聴取し、改善できるポイントがないかを検討しながら治療を構築していきます。
健康診断で血圧の異常を指摘されたけど、どうしようかな、、、とお悩みの方は、ぜひお気軽に当院にご相談ください。患者様のご不安を取り除けるよう、治療経験豊富な医師が、丁寧に治療にあたらせていただきます。
「身長・体重(BMI)」もスルー厳禁
血圧と並んで、健康診断で無視されがちなのが、「身長・体重」。大人の健康という面では、特に「体重」が重要であることはもはや言うまでもないでしょう。
BMIで適正体重をチェック
身長によって適正体重は変わってきますので、BMI(=体重(kg)÷身長(m)の2乗)を算出し、体重が適正かどうかを確認します。
- 低体重:BMI 18.5未満
- 普通体重:BMI 18.5~25
- 肥満:BMI 25以上(さらに程度により1度~4度に分類)
現代社会と肥満の関係
肥満は、ご存じの通り健康との関連は非常に深く、健康を考える上で最もわかりやすく重要視される因子だと思います。ダイエットは常に世界中の話題であり、それに関する情報も、質を問わず枚挙に暇がありません。それだけ肥満の人口が多く、そして肥満の健康リスクが高いということの現れでもあるでしょう。
この飽食の時代に、宅配サービス、移動手段など利便性ばかりが増し、食事や活動量の管理はますます難しくなっています。
加えて、美容の面からももちろん注目は高く、SNS全盛の時代にあって、これまで以上に肥満(というか体型)への意識の高まりがあります。
肥満は「万病のもと」
誤解を恐れずに言えば、肥満は「万病のもと」です。
肥満を起こすような食事・運動習慣は、以下のような疾患に直結します。
- 糖尿病
- 高コレステロール血症
- 高血圧
- 脂肪肝(進行すると肝硬変へ)
- 睡眠時無呼吸症候群
さらに、夜間の就寝中に気道が狭くなることにより、睡眠時無呼吸症候群を引き起こしてしまいます。睡眠時無呼吸症候群は、それ自体がまた「万病のもと」とも言える疾患で、悪循環によりどんどん病状は加速します。
肥満が進むとダイエットも困難に
さらに悪いのは、肥満が進んでしまった段階で「運動して痩せよう」と思い立ったときに、重すぎる体重で運動を始めたばっかりに膝などの関節を痛めてしまうことがあるということです。結果、まともな運動ができず、ダイエットの肝である運動療法ができない、ということになり、治療は困難を極めます。
「太り始めたな」のサインを見逃さない
考えてみてほしいのは、どんな人でも、「ある日突然、肥満になった」なんてことはない、ということです。
今がどんなに肥満でも、必ず「あれ?太り始めたな」という段階があったはず。そこで十分な対処をしなかった結果が、肥満状態なのです。
普段体重を測らない人でも、職場の定期健康診断で、「太り始めたな」には気付けるはずです。その段階で、結果を放置せずにダイエットを考えることが、万病を予防するための第一歩です。
当院の「メディカルダイエット」のご案内
当院では、ダイエットを考える方に、「メディカルダイエット」と称して、医師の知識に基づき食事・運動を中心とした指導を行い、ダイエットのサポートをさせていただきます。また、体重減少効果のある薬剤を併用することもあります(一部自費診療のメニューを含みます)。
性別を問わず、体重の悩みはいつの時代も尽きることはないものです。
- 「太り始めたな」
- 「太りすぎてしまった」
- 「特に気にしていないけど、健康診断で指摘されたから」
どんなきっかけでも構いません。ぜひお気軽に当院にご相談ください。

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